「お墓って、どこの石材店で建ててもらっても同じでしょ。」

そう思うのも無理ありません。

なぜならお墓を購入する機会は滅多 にあるものではありません。したがってお墓に関する知識など特に 必要ありませんでした。

しかしそのために、今お墓の建立で失敗する人が増えています。 売る時はいいことを言うけれど、売った後は知らん振り、そんな石材店 がいくつもあります。あなたがお墓や石に関する知識がほとんどなかったために、お墓を建てた後で石碑が傾いたとか、納骨堂に水が 溜まってしまったなど、大変な後悔をすることになりかねません。 そんなことにでもなればご先祖様を欠陥住宅に住まわせることと同じになります。

見猿言わ猿聞か猿しかし、安心して下さい。この「7つの自己防衛策」を読んだ後には あなたは必ず失敗しない納得のいくお墓を建てることが出来るようになるでしょう。

1 いつお墓を建てるべきか

法律ではいつまでにお墓を建てなければならないという規定はありません。思い立ったが吉日なのですが、市営霊園などの公営の 霊園では、墓地の区画が割り当てられてから一定の期間内に施工しなけ ればならないという規則がある所もありますので、ご注意下さい。

また、ご遺骨はあまり長く自宅に置かず納骨する方がよいので、できれば四十九日や一周忌、三回忌といった法事に合わせてお墓を建てるのがよいでしょう。その理由は「法事」と、お墓を建てた場合に行う 「開眼供養」を一緒に行う方が、親族などたくさんの人に参列してもらう時に一度で法要が済むので都合がよいというわけです。

お墓は遅くとも三回忌までには建てたいものです。三回忌の後は 七回忌がメドです。その他春秋のお彼岸、お盆、祥月命日などの目安がありますが、お墓を建てるならあまり遅くならない方がよいでしょう。

生前にお墓を建てることを「寿陵」といい、幸せな家庭に果報を招く、縁起のよいものとされています。

  
仏式(法事) 神式(霊祭)
初七日 近親者と親しい人だけで供養する。祭壇の飾りを簡素にする。   十日祭 帰家祭と十日祭を一緒にすることもある。仏式初七日と同じ
二七日 遺族だけで供養する。 二十日祭 三十日祭と五十日祭を かねることもある。
三七日 三十日祭
四七日 四十日祭
五七日
七七日
(四十九日)
忌明けとなる。僧侶を招いて法要をする。祭壇も片付ける。法要のあとふるまいをし、お返しをする。 五十日祭 忌明けとなる。 仏式の四十九日と同じ。
新盆 精霊棚を飾って供養する。 彼岸 新盆は行わず、春秋彼岸の中日に祖先を祭る。
百カ日 丁寧な供養をし、ふるまいをすることが多い。 百日祭 霊祭は故人の霊位と写真を祭り、榊花、供え物をして神官を招く。 明治以前は神仏混淆だったことから、仏式と似ている。
一周忌 一年祭
三回忌 これまでは半喪服亡くなった翌々年。 三年祭
七回、十三回
十七年
二十三年
二十七年
三十三年
三十七年
五十年、百年
これから後は遠い法事となる。 三十三年を年忌どめと いわれる。 五年祭
十年祭
二十年祭
三十年祭
五十年祭
百年祭

2 失敗しない墓地選びのコツ

これから墓地を買いたいという方にお知らせします。墓地を買うと いうことは、正確には墓地の使用権を買うということです。永代使用権 を買うとよく言いますが、これも正確には、「永代にわたってお墓を建てる土地を使う権利を買う」ということになります。

墓地には公営墓地、寺院墓地、野墓地があります。公営墓地のメリッ トとして環境が良く、景観も楽しめ、区画も整備されている。宗派にと らわれることなく自由にお墓を建てられる、などがあります。

一方、寺院墓地は宗派に合った人しか建てられず、檀家にならなければならない、という決まりはありますが、そのかわり供養は確実にしてもらえます。

また、自宅からの所要時間、水道、トイレ、駐車場の有無、日当たり・ 水はけのよさをチェックすることが重要です。

チェックポイント

  • 駐車場、水道、トイレなどの設備は整っているか
  • 交通の便はいいか
  • 墓地の広さは十分か
  • 境界線ははっきりしているか、通路は狭すぎないか
  • 墓地の近くに大きな木はないか(根で墓石が傾く場合があります)
  • 水はけはよいか、排水は考えられているか
  • お参りに行きやすい場所か
  • 墓地管理は十分に行き届いているか

3 石材店の選び方

お墓は一生に一度あるかないかの高価な買物です。また、石材店とは お墓を建てるまでよりも、建ててからのお付き合いのほうが長いものです。石を売りつけるだけのブローカーのような石材店もあって、後々の面倒を見てくれないところもあります。

石材店を選ぶポイントとして、お墓のメンテナンス・アフターケアがしっかりしている、お客の要求にできるだけ応えてくれること、価格が明瞭であること、信用があること、などがあります。

また、満足したお知り合いの方に紹介して頂くのもよい方法です。 信頼できる石材店は必ずしも派手な宣伝広告をしているところとは 限りません。自分の目でじっくりと見極めましょう。

チェックポイント

  • 何よりも施工がしっかりしていること
  • 石種の説明が明解であること
  • 価格体系が明瞭であること
  • お客様の要求にできるだけ応えてくれること
  • ある程度の経歴があること
  • 墓石の販売以外に、法事の手伝い、墓石のメンテナンス、会葬等の儀式にも力になってくれること
  • お寺、檀家との信頼関係を保てること

4 お墓にはどのような石を選べばよいか

お墓に使う石には花崗岩安山岩などがありますが、その中でも花崗岩は「御影石」とも呼ばれ、硬くて磨くと美しく仕上がるということで 最も多く使用されています。御影石といっても国内産、外国産合わせて 何百種類もあり、この中から石の良し悪しを選ぶのは非常に困難です。

値段が高ければ品質がいいというものではありません。良い石の条件 はまず硬度が高く、水を吸いにくく、そして傷やムラが少なく、きめ 細かいことです。お頼みになる石材店さんに相談し、あとはご自分の気に入った色・石目を、実際に石をご覧になって選んで頂くことです。

またすぐお墓を建てられない場合は、まず埋骨だけをすませて、墓標や塔婆を建てる方法があります。一度にすべての石を揃えるのではなく、 段階的にお墓を建てていくこともできます。

5 お墓のかたち

まず石碑のかたちですが、これといった決まったかたちはありませんが、一般的には四角い石を三、四段重ねた和型の石碑と、横幅が広い洋型の石碑があります。その他五輪塔やお客様の気持ちをデザインに 込めたニューデザイン墓などがあります。

お墓君次に、外柵の作り方ですが、これも決まったかたちはないので、墓地 の大きさに合ったバランスのいいものを考えるのがポイントです。

お近くの霊園墓地を見に行って頂くと参考になります。

お墓ができるまで

  1. いつまでにお墓を建てるか、完成日を決める
  2. お墓のかたち、石の種類を決める
  3. お墓に彫り込む字を決める(正面の字、家紋、戒名など)
  4. 墓石工事(墓所で工事を行います)
  5. お墓の完成(お墓が完成したらご連絡致しますので、現地でご確認下さい)
  6. 開眼供養(お墓に魂入れをして納骨を行います)

 

6 お墓の価格について

一番気になる価格ですが、お墓を求める場合は、墓石にかかる費用と 墓地にかかる費用とがあります。墓石の価格は墓石の大きさ、かたち、 石の種類、土台となる基礎工事費、その他墓誌・灯ろうなどの付属品 など、お墓の設計によって価格は違ってきます。

目安として、4㎡の墓地で石碑・外柵をつくると50万~150万円 くらいです。墓地の価格は永代使用料が20万~60万円くらいと、 年間管理料が数千円程度かかります。

こちらは買いたいと思っている墓地で確認してみて下さい。

墓所使用料 永代使用料と呼ばれています。お墓の使用権を得るために お寺や墓地の管理者に支払うお金です。
墓石工事代 お墓を建てるのにかかる費用です。お墓の石代金と工事代金を合わせたもので、石材店に支払います。もちろん ローンでの支払いもできます。
年間管理料 毎年かかる費用です。墓地の維持管理に対して、その管理者に支払います。園内の除草、清掃や休憩所などの施設の管理に使われています。

7 お墓のお手入れ、リフォームについて

お手入れ

墓石キャラ

まずお手入れについてですが、お墓参りの際にはお花、お線香、 お供物、手桶などの他に、お墓を掃除するための雑巾、タワシ、小ボウキなどを用意しましょう。石碑に彫ってある字の汚れは、使わなくなった歯ブラシを使うとよく取れます。
その他の周りの汚れは雑巾でキレイにふき取りましょう。洗剤や薬品 を使うと石が変色する場合があるのでご注意ください。また植木は 剪定、手入れなどして、お隣の迷惑とならないよう心掛けましょう。
その他花立の破損や玉砂利が減ってしまった時はお気軽にお電話下さい。

リフォームのすすめ

お墓は年月を重ねるごとに風化が進んで、いつの間にか石が傷つい たり、汚れが目立つようになります。また地震や地盤沈下などで、石碑・ 外柵がズレたりすることがあります。このようなことは古いお墓に見ら れることがありました。しかし、現在では接続部分に補強金具を用いた耐震設計となっておりますので安心です。これを機会にリフォーム されてはいかがですか。そしてリフォーム後もこまめにお墓参りをし、 キレイなお墓を長持ちさせて下さい。きっとご先祖様だけでなく、あな た様のご子孫にも喜ばれることでしょう。

その他のご注意!

  • 石の表面が磨き上げられたものは、水で濡れていると大変滑り やすくなっています。水をまいた時や雨・雪の日は特にご注意下さい。
  • 墓石や外柵の石にお酒やジュースなどをかけますと。シミや汚れの 原因となります。
  • 香炉に多量のお線香を入れますと、その炎で石が熱くなり、そこに 水をかけると石が割れる可能性があります。
  • 炎天下にお線香の汚れ、お供えした花のシミをそのままにしておき ますと、石に焼き付き、汚れやシミが取れなくなる恐れがあります ので早めにお掃除下さい。